水戸地方裁判所 平成元年(ワ)28号 判決 1991年7月16日
原告 株式会社富士通ビジネスシステム
右代表者代表取締役 成田清
右訴訟代理人弁護士 青木一男
同 関根修一
同 田中成志
被告 鈴善工業株式会社
右代表者代表取締役 鈴木勝健
<ほか二名>
右被告三名訴訟代理人弁護士 池田映岳
被告 福島バレット通信特機株式会社
右代表者代表取締役 鈴木昭三
<ほか一名>
主文
一 被告福島バレット通信特機株式会社及び同鈴木昭三は、原告に対し、各自、金七五五万円及びこれに対する平成二年六月二二日から支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告と被告福島バレット通信特機株式会社及び同鈴木昭三との間において、原告が、別紙物件目録一及び二記載の物件につき、所有権を有することを確認する。
三 原告のその余の被告らに対する請求をいずれも棄却する。
四 訴訟費用は、原告に生じた費用の三分の一と被告福島バレット通信特機株式会社及び同鈴木昭三に生じた費用を右被告らの負担とし、原告に生じたその余の費用と被告鈴善工業株式会社、同鈴木健勝及び同株式会社常陽リースに生じた費用を原告の負担とする。
五 この判決は、第一項及び第四項に限り、仮に執行することができる。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告らは、原告に対し、各自、金七五五万円及びこれに対する被告株式会社常陽リース(以下「被告常陽リース」という。)は平成元年三月二四日から、被告鈴善工業株式会社(以下「被告鈴善工業」という。)及び同鈴木勝健は平成元年三月二五日から、被告福島バレット通信特機株式会社(以下「被告福島バレット」という。)及び同鈴木昭三は平成二年六月二二日から、各支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。
2 原告と被告らとの間において、原告が、別紙物件目録一及び二記載の物件につき、所有権を有することを確認する。
3 被告鈴善工業は、原告に対し、別紙物件目録一及び二記載の物件を引き渡せ。
4 被告鈴善工業は、右3項の強制執行ができないときは、原告に対し、金七五五万円を支払え。
5 訴訟費用は被告らの負担とする。
6 仮執行の宣言(2項を除く)。
二 請求の趣旨に対する答弁(被告常陽リース、同鈴善工業及び同鈴木勝健)
1 原告の被告常陽リース、同鈴善工業及び同鈴木勝健に対する請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用中、原告と被告常陽リース、同鈴善工業及び同鈴木勝健との間で生じた部分は原告の負担とする。
第二当事者の主張
一 請求原因
1 原告は、コンピューター、その付属機器及びコンピュータープログラムの販売を営業とする会社、被告福島バレットは通信機及びコンピューター等を販売する会社、被告鈴木昭三は被告福島バレットの代表取締役、被告常陽リースはファイナンスリースを営業とする会社、被告鈴善工業は漆器類の製造販売を営業とする会社、被告鈴木勝健は被告鈴善工業の代表取締役である。
2 原告は、昭和六二年四月中旬頃、被告福島バレットとの間で、以下の約定に従い、代金合計七五五万円で、原告所有の別紙物件目録一記載の物件(コンピューター機器・以下「第一物件」という。)を原告が同被告に売り渡し、別紙物件目録二記載の物件(プログラム媒体・以下「第二物件」という。)に収納されているアプリケイションプログラムソフトウエア(以下「本件プログラム」という。)を制作することを原告が同被告から請け負う旨の契約を締結した(以下、この契約を、「本件契約」、別紙物件目録一及び二記載の物件を合わせて「本件物件」という。)。
(一) 本件物件の所有権は代金完済まで原告に留保され、代金完済とともに原告が被告福島バレットに対して本件物件を引き渡すことによって右被告に移転する。
本件プログラムの著作権も代金完済まで原告に留保される(なお、原告は本件プログラムを下請けのトリオシステムプランズ株式会社に制作させたものであって、その著作権は原告が有している。)。
(二) 代金の決済は、最終的に本件物件を使用する被告鈴善工業と原告が斡旋するリース会社とが本件物件についてファイナンスリース契約を締結し、本件物件が、原告から被告福島バレットに、更に、被告福島バレットからリース会社に引き渡された後、原告がリース会社から、支払のために振り出す約束手形の交付を直接受けることによって行う。なお、その際、原告は、リース会社から被告福島バレットに対して支払われるべき代金について、被告福島バレットに代わって受領する権限を有する。
3 本件契約の締結に当たっては、昭和六二年二月頃から、被告鈴善工業の当時の代表取締役社長(現代表取締役会長)鈴木善九郎の指示で、原告の社員二ッ森浩美と右鈴木善九郎の長男で被告鈴善工業の当時の専務取締役(現代表取締役社長)である被告鈴木勝健との間で交渉がされた。
その際、被告鈴木勝健は二ッ森浩美に対して、被告鈴木勝健が被告福島バレットの代表取締役社長であった被告鈴木昭三と親しいことを理由に、原告が被告福島バレットに本件物件を売り渡し、更に被告福島バレットが被告鈴善工業に本件物件を売り渡すようにしたいという趣旨の指示をした。原告はこの指示に従い、被告福島バレットとの間で本件契約を締結したものである。
4(一) 原告は、昭和六二年七月二四日、第一物件を被告鈴善工業の事務所内に搬入して設置した。
(二) また、原告は、本件プログラムを完成させ、昭和六二年一一月頃から稼動テストに入り、試験運用するようになった。
(三) これによって、原告と被告鈴善工業との間で、第一物件については昭和六二年七月二四日、第二物件については同年一一月頃、本件プログラムが完成して本件物件がシステムとして作動するまでの間、原告が機器を調整する等の作業をし、本件プログラムを機器に収納してテストするために、本件物件を被告鈴善工業が原告のために保管する旨の寄託契約が成立したものであって、本件契約に基づく引渡がされたものではない(原告は、昭和六三年三月二四日に本件物件を被告福島バレットに引き渡した。)。
5(一) 被告鈴善工業は、原告との間で、原告が斡旋するリース会社と本件物件についてのリース契約を締結することを合意していた。ところが、被告鈴善工業は、昭和六二年七月二七日、右4(三)の寄託契約に違反して、かつ、本件契約中の(一)及び(二)の約定の存在及びリース会社から資金繰りに困っていた被告福島バレットに対して本件物件の代金が支払われれば原告の代金回収が困難になることを知りながら、本件物件の引渡が未了の段階で(本件プログラムはまだ作成に取りかかってもいなかった。)、被告福島バレットの便宜を図り、原告に無断で、被告常陽リースとの間で本件物件についてファイナンスリース契約を締結して被告常陽リースに第一物件を引き渡し、第二物件については本件プログラムが完成して引渡を受けたときに自動的に占有改定される旨の合意をした。
これは、右寄託契約に違反する債務不履行であり、また、原告の本件物件の所有権及び本件プログラムの著作権を侵害し、原告の代金債権の回収を困難にする不法行為である。
(二) 右(一)の行為は、被告鈴善工業の代表取締役である被告鈴木勝健(同被告は昭和六二年五月二九日に代表取締役に就任した。)がその職務としてしたものである。
また、被告鈴木勝健には、その職務を行うについて悪意又は重大な過失があった。
(三) 被告福島バレットは、昭和六二年七月二七日、本件契約中の前記2項(二)の約定に違反して、原告に無断で、被告常陽リースに対して本件物件を売り渡してその代金を受領し、原告の被告福島バレットに対する本件物件の代金債権の回収を困難にした。これは本件契約の債務不履行である。
また、原告は、被告福島バレットに対し、平成三年一月三一日、公示の方法により、同日から一七日以内に本件物件の代金七五五万円を支払うよう催告するとともに、その支払のないときは本件契約を解除する旨の意思表示をしたから、本件契約は同年二月一八日に解除された。したがって、同被告は原告に対し、原状回復義務として本件物件を返還すべき債務を負うところ、本件物件を被告常陽リースに売却しているので、右返還債務は履行不能である。
(四) 右(三)の行為は、被告福島バレットの代表取締役である被告鈴木昭三がその職務としてしたものである。
また、被告鈴木昭三にはその職務を行うについて悪意又は重大な過失がある。
(五) 被告常陽リースは、昭和六二年七月二七日、リース会社として検収確認書、本件物件の所有権の帰属、本件物件の現況等を調査して、本件物件の引渡の有無及び所有権帰属主体について確認すべきであったにもかかわらずそれをせず、本件物件が検収前で稼動もしていないのに、原告に無断で、被告福島バレットから本件物件を買い受けて代金を支払い、更に、被告鈴善工業との間で本件物件についてファイナンスリース契約を締結し、原告の被告福島バレットに対する本件物件の代金債権の回収を困難にした。
(六) また、被告常陽リースは、原告所有の第一物件及び原告が著作権を有する本件プログラムについて、法律上の原因なく、七五五万円を越えるリース料債権を被告鈴善工業に対して取得して利得を得、右行為によって原告は七五五万円相当の損失を被り、この利得と損失との間には因果関係がある。
(七) 被告福島バレットは、昭和六三年四月下旬、手形不渡りを出して倒産し、現在資産はなく、また、同社の代表取締役である被告鈴木昭三は現在行方不明であり、同様に資産はない。したがって、原告は、被告鈴善工業、同鈴木勝健、同常陽リース、同福島バレット及び同鈴木昭三の前示各行為により本件物件の代金を回収することができず、原告には代金相当額七五五万円の損害が発生した。
6 本件契約中の約定(2項の(一))によれば、本件物件は未だ原告の所有である。それにもかかわらず、被告らは本件物件の所有権が被告常陽リースに帰属することを前提とした主張ないし行動をしており、被告鈴善工業は、本件物件を占有している。
7 よって、原告は被告らに対し、次のとおり請求する。
(一) 請求の趣旨1項(七五五万円及びこれに対する訴状送達の翌日から支払い済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の各自支払い請求)
(1) 被告鈴善工業に対する請求
不法行為又は寄託契約の債務不履行に基づく損害賠償として(この両者は選択的である。)、請求する。
(2) 被告鈴木勝健に対する請求
商法二六六条の三第一項又は不法行為に基づく損害賠償として(この両者は選択的である。)、請求する。
(3) 被告福島バレットに対する請求
本件契約の債務不履行又は本件契約の解除による原状回復義務(本件物件の返還債務)の履行不能に基づく損害賠償として請求する。
(4) 被告鈴木昭三に対する請求
商法二六六条の三第一項又は不法行為に基づく損害賠償として(この両者は選択的である。)、請求する。
(5) 被告常陽リースに対する請求
不法行為に基づく損害賠償として又は不当利得返還請求権に基づいて(この両者は選択的である。)、請求する。
(二) 請求の趣旨2項(本件物件の所有権確認)
被告ら全員に対して請求する。
(三) 請求の趣旨3、4項(本件物件の引渡請求とその執行不能の場合の七五五万円の支払い請求)
本件物件の所有権に基づいて、被告鈴善工業に対し、本件物件の引渡を請求し、その強制執行が不能のときは、代償請求として七五五万円の支払を請求する。
二 被告ら(被告常陽リース、同鈴善工業及び同鈴木勝健)の主張
1 請求原因に対する認容
請求原因1は認める。
同2のうち、原告が本件物件を、被告福島バレットに売り渡した事実は認めるが(本件プログラムについての契約は、その請負ではなく、著作物の複製物である第二物件の売買である。)、その余の事実は知らない。
同3は否認する。
同4のうち、第一物件が原告主張の日に被告鈴善工業に搬入・設置された事実は認め、その余は否認する。第一物件は、被告福島バレットの担当者が立会い、メーカーである富士通株式会社のサービスマンによって設置されたものであるが、被告鈴善工業に第一物件を設置したのは被告福島バレットであるとみるべきである。そして、被告鈴善工業が寄託を受けるとか他人の物を保管するとかいう関係ではない。
同5のうち、昭和六二年七月二七日被告福島バレットと被告常陽リースとの間で本件物件について売買契約が締結された事実、同日被告常陽リースと被告鈴善工業との間で本件物件についてファイナンスリース契約が締結された事実、被告常陽リースが被告福島バレットに対して本件物件の代金を完済した事実、昭和六二年七月二七日当時被告鈴木勝健が被告鈴善工業の代表取締役であった事実及び昭和六三年四月下旬被告福島バレットが倒産した事実は認め、その余は否認する。
原告は被告福島バレットからの売買代金の回収を漫然放置し、昭和六三年一月二二日に満期三か月後の約束手形を受領したものであり、被告福島バレットは倒産直前まで正常に営業を継続していたのであるから、原告が代金債権を回収できなかったのは原告自身の怠慢によるものであり、被告らの行為との間には因果関係がない。
また、被告常陽リースは被告福島バレットに本件物件の代金を支払っているのであるから、民法七〇三条にいう利益は受けていない。
同6のうち、被告らが本件物件の所有権が被告常陽リースに帰属することを前提とした行動をしている事実及び被告鈴善工業が本件物件を占有している事実は認め、その余は否認する。
2 抗弁
(一) 転売授権
被告常陽リースは、原告が正当な販売権限を与えた被告福島バレットから本件物件を買い受けたのであるから、原告は、被告福島バレットとの間の本件物件の所有権留保の特約をもって被告常陽リースに対抗できない。
(二) 即時取得
仮に右主張が理由がないとしても、被告常陽リースは本件物件の所有権を即時取得したものである。
すなわち、第一物件は昭和六二年七月二七日に被告福島バレットから被告常陽リースに引き渡されて被告常陽リースがその占有を始め、第二物件はプログラムの開発が進むに従って昭和六二年八月から九月と段階を追って順次引き渡され、最終的には同年一〇月二六日にすべての引渡が完了している。第二物件の現実の納入行為は原告の下請けであるトリオシステムプランズ株式会社から被告鈴善工業に直接されているが、右納入によって被告常陽リースは第二物件の占有を始めたものである。
三 抗弁に対する認否
1 転売授権について
争う。原告は、被告福島バレットとは継続的取引基本契約を締結しておらず、むしろ本件契約に限り被告鈴善工業の指示で介在させ、取引をしたものであるから、原告と被告福島バレットとの間に転売授権の関係はない。また、転売授権の考え方は消費者保護の必要に由来するものであるが、被告常陽リースは消費者ではないから、保護の必要性を欠く。
2 即時取得について
争う。昭和六二年七月二七日の時点では、本件プログラムは存在していないし、第一物件も検収前で原告はこれを被告鈴善工業に寄託していたのであるから、原告は被告福島バレットに本件物件を引き渡しておらず、被告福島バレットはその占有を取得していない。したがって、被告福島バレットがこれを被告常陽リースに占有移転(指図による占有移転)することはありえず、被告常陽リースは本件物件について占有を開始したとはいえない。
また、被告常陽リースは、売主の被告福島バレットの占有を信頼して取引をしたわけではないから即時取得によって保護される態様ではないし、仮に被告福島バレットとの取引によって開始した占有があるとしても、従来の被告鈴善工業の直接占有に外観上何らの変更も生じておらず、被告鈴善工業の直接占有を代理占有とするものであるから、即時取得の要件を満たすものではない。
四 再抗弁
1 転売授権について
前記のとおり、本件契約は解除されたのであるから、原告は本件物件の所有権を喪失していない。
2 即時取得について
リース会社にもリース物件の購入に当たっては売主の所有権についての調査義務があるが、被告常陽リースは売主の所有権の確認のために契約書、納品書、代金の領収書等の提示を求めるなどの行為を全くしておらず、何らの調査もしていないから、過失がある。
3 被告鈴善工業の信義則違反
被告鈴善工業が本件物件の返還請求を拒むことは信義則上許されない。
すなわち、被告鈴善工業は、被告福島バレットに利益をもたらすために、原告に対して被告福島バレットを経由して取引をするよう指示し、しかも原告から原告の提携リース会社とリース契約を締結するよう依頼されていたのに、第一物件が搬入されて三日目で、本件プログラムの作成作業に入る前の時点で、原告から引渡がされる前に被告福島バレットにリース会社から代金が支払われるように便宜を図るために、原告に無断で被告常陽リースとリース契約を締結し、同被告のために占有を開始して、その結果原告に代金回収ができなくなるという損害を発生させたからである。
五 再抗弁に対する認否(被告常陽リース、同鈴善工業及び同鈴木勝健)
1 再抗弁2は争う。
被告福島バレットは当時東芝情報機器、富士通ゼネラルその他の特約店として、会津若松市に二店舗、仙台市に一店舗を有し、福島県、宮城県において手広く営業活動を行っていた。そして、コンピューターその他OA機器の販売店として正常な営業活動を行っていたから、被告常陽リースはかかる販売店から購入する本件物件の所有権について疑問を感じなかったものであって、疑問を感ずるほうが異常である。被告常陽リースには販売店の所有権取得等について調査確認する義務はない。
2 同3は争う。
第三被告福島バレット及び同鈴木昭三の不出頭
被告福島バレット及び同鈴木昭三は、公示送達による呼出を受けたが、本件口頭弁論期日に出頭しない。
第四証拠《省略》
理由
一 《証拠省略》によれば、請求原因1の事実及び被告鈴木勝健は昭和六二年五月二九日に被告鈴善工業の代表取締役に就任したものであって、それ以前は専務取締役であったことが認められる。
二 《証拠省略》によれば、以下の事実が認められ(る。)《証拠判断省略》
1 被告鈴善工業は、昭和五六年頃から被告福島バレットとの取引があったが、被告福島バレットから昭和六〇年一〇月頃以降コンピューターの導入を勧められており、同年一一月には東芝製コンピューターの見積書も提出された。
被告福島バレットの主な営業内容は通信機器及びコンピューターの販売であったが、東芝情報機器株式会社、富士通ゼネラル株式会社、日本モトローラー株式会社、ナカヨ通信機器株式会社、キャノン販売株式会社、ナショナル通信機器株式会社などの販売代理店であった。会津若松市の本店のほか仙台に営業所を有し、会津周辺では手広く営業活動を行っていた。
2 被告鈴善工業と被告福島バレットとの間のコンピューターの販売に関する商談は一時中断されていたが、昭和六一年一二月に再開され、被告鈴善工業では当初東芝製品の導入について検討を始めた。
その過程で、被告鈴善工業の代表取締役である鈴木善九郎から、会津若松市には富士通株式会社の工場があるから、富士通製のコンピューターについても検討をしたらどうかという話があった。鈴木善九郎は、富士通株式会社の製品の部品を製造している株式会社会津電子デバイス(本店は会津若松市にあった。)の監査役をしていた。
そこで、被告鈴善工業は富士通製品についても検討をすることとしたが、被告福島バレットは東芝の販売代理店であったので、被告福島バレットに対して富士通製品を取り扱うことができるかどうか問い合わせたところ(被告鈴善工業は、原告と直接取引ができるとは考えておらず、代理店を経由する必要があると認識していた。)、取扱いが可能であるとの返事であったので、被告福島バレットに対して富士通製品についても検討したい旨伝えた。
その後、昭和六二年二月に原告の福島営業所販売課に所属する社員である二ッ森浩美が被告鈴善工業を訪れ、以後富士通製品についての商談も進められた。被告鈴善工業(担当していたのは総務課長の山本容平であった。)では、被告福島バレットからの連絡によって原告の社員が被告鈴善工業を訪問したものと考えていた。
3 被告鈴善工業は、被告福島バレットから昭和六二年三月一八日付の東芝製品及び富士通製品の各見積書を徴し、両者を比較検討した。富士通製品については同年四月三日付の他の機種についての見積書も提出させた。
その結果、被告鈴善工業は富士通製品を購入することを決定した。
なお、被告鈴善工業はコンピューターが円滑に機能するまで操作の指導等に当たる社員の派遣を要望していたが、原告はこの要望を断ったので、被告福島バレットが右社員を派遣することになった。また、被告鈴善工業としては、コンピューターの導入については被告福島バレットとの間で従来からの経緯もあったので、原告に対して、コンピューターは被告福島バレットから購入する形式としたいと申し入れ、二ッ森はこれを了承した。
昭和六二年三月三一日までにはコンピューターの機種も確定し、原告は右同日、富士通株式会社に対して第一物件の注文書を送付した。また、原告は、右同日、被告福島バレットに対して注文書の用紙を送付し、右注文書は四月中旬に被告福島バレットから記名押印の上原告へ返送された。この被告福島バレットの原告宛注文書の内容は、第一物件の代金が四一〇万円、「販売管理システム開発費」三四五万円、合計七五五万円、納入場所被告鈴善工業、納入予定日昭和六二年七月、検収予定日同年八月となっている。また、契約条項として、物品の所有権は物品代金全額が完済されるまで原告に留保されること、物品の検収は注文者(被告福島バレット)及び原告が立会いで実施すること、物品は検収完了と同時に注文者に引き渡されるものとし、納入後検収完了まで注文者は善良な管理者の注意をもって物品を預り保管すること等の記載がある。
被告鈴善工業は当初からこの取引についてはリース会社を介在させ、コンピューターはリース会社からリースを受ける予定であったので、そのような意向を表明していた。そこで、二ッ森は被告福島バレットの代表者である被告鈴木昭三に対し、三月下旬に、リース会社は原告の提携会社を選定してもらいたいと依頼するとともに、リース会社から受領する手形は原告と被告福島バレットがそれぞれの取り分に応じて取得することになる旨申し入れており、被告鈴木昭三はこれを承諾していた。
しかし、二ッ森は、被告鈴善工業の山本課長に対しては、原告の提携リース会社がいくつかあるので、後日、料率的に条件の良いリース会社を紹介すると説明したにとどまり、原告の提携リース会社でなければいけないとか、その理由までは話しておらず、代金を原告がリース会社から直接手形で受領する手はずになっているという話もしなかった。
被告鈴善工業は、被告福島バレット宛に、昭和六二年四月一六日付の本件物件についての注文書(代金八二〇万円)を発行している。そして、被告鈴善工業は、この時までに、被告福島バレットの推薦したリース会社のほかに、独自に調査をして、最もリース料の率の低額な被告常陽リースを選定することを決定した。
4 昭和六二年七月二四日、第一物件が富士通株式会社の工場から被告鈴善工業の本店に搬入され、原告の保守作業員が同日設置、調整作業を完了した。この作業には原告社員の二ッ森と被告福島バレットにおける担当者である邊見辰也が立会った。
この日は、第一物件はシステムとして機能する状態にはなっていなかったが、同時に搬入されたエポカルクという名称の計算機能を有するソフトウェアは使用可能であった。
5 昭和六二年七月二七日にリース契約が締結された。
被告常陽リースの担当者は郡山営業部の営業部長代理熊田英郎であったが、同人は、当日、被告鈴善工業への途中にある被告福島バレットの本店に立寄り、ここで初めて代表者の被告鈴木昭三に会い、被告鈴善工業本店へ同行した(これ以前には、熊田は被告福島バレットの担当者に連絡して本件物件の見積書を取寄せたり、担当者とリース料の料率などについての折衝をしていた。)。そして、被告鈴善工業本店に右熊田、被告鈴木昭三、被告鈴木勝健及び山本課長が集り、山本課長からコンピューター機器は搬入されており、作動可能な状態である旨の報告があり、被告常陽リース(賃貸人)と被告鈴善工業(貸借人)との間で、第一物件についてのリース契約書(リース期間 昭和六三年七月二七日から昭和六七年七月二六日まで、リース料 一か月一〇万〇四〇〇円とされている。)及びソフトウェアー(販売請求在庫管理システム)についてのプログラム・プロダクト・リース契約書(リース期間は第一物件と同一、リース料は一か月五万七八〇〇円とされている。)の調印がされた。右各契約書には、特約として、被告常陽リースは、本日、物件を被告鈴善工業に引き渡し、被告鈴善工業はこれを受領したとの記載もある。
その後、右同日、熊田と被告鈴木昭三は被告福島バレット本店に戻り、熊田は被告鈴木昭三から第一物件及び前記ソストウェアーについての被告福島バレット(売主)から被告常陽リース(買主)宛の注文請書を受領した。この注文請書には、取引条件として、引渡期限は昭和六三年七月二七日、引渡場所は被告鈴善工業本店と記載されている。代金は合計八二〇万円である。
また、同日、被告福島バレットは被告常陽リースに同日付納品書及び請求書を交付した。同日、被告常陽リースは被告福島バレットに宛てて金額八二〇万円、支払期日同年一一月三〇日の約束手形を振出交付し、右手形は期日に決済された。
被告福島バレット及び同常陽リースでは、従前、コンピューターについてのリース契約を締結する場合には、機器が納入された段階で、ソフトウェアが完成していなくとも、機器及びソフトウェアの双方について同時にリース契約を締結しており、今回本件プログラムの完成前に本件プログラムの媒体についてもリース契約を締結したのは異例のことではない。また、被告鈴善工業も従前機械が納入された時点でリース契約を締結しており、コンピューターを導入したのは今回が初めての経験であったが、コンピューター機器が納入された時点で未完成のソフトウェアについても同時にリース契約を締結するのが通例であると聞いていたので、本件のような時点でのリース契約の締結は当然のことであると考えていた。
6 熊田は、第一物件が富士通の製品であることは知っていたが、被告福島バレットに対して、それ以上に、第一物件をどこからどのような条件で仕入れ、また本件プログラムをどこに作成依頼しているかということについて聞くことはしていないし、これに関する契約書、注文書等の提示も求めていない。
熊田は、被告福島バレットはコンピューターなどのOA機器を扱う販売代理店であると認識していたが、主としてどのような商品を扱っているのか、また、どのようなメーカーの代理店であるかということを含めて詳細な点についての知識はなかった。また、被告常陽リースとして被告福島バレットについての信用調査もしていない(被告常陽リースとしてはリース契約を締結する際には一般的にこのような調査は行っておらず、本件の場合も同様であった。)。
もっとも、被告常陽リースは、本件取引以前に四回、被告福島バレットとの間でリース物件を購入して第三者との間でリース契約を締結するという取引をしている。昭和六〇年九月のファクシミリ、昭和六一年九月の暖房設備(金額は六〇〇万円)、同年一〇月のボタン電話及びファクシミリ並びに昭和六二年四月の電話である。
7 邊見は、昭和六二年七月二七日頃から、被告鈴善工業の社員に対して第一物件の操作についての指導を始め、間もなく商品ラベルの印刷ができるようになった。ラベル印刷プログラムは七月二八日に原告社員によってセットされた。
また、同年八月二七日には、得意先マスターリストを打ち出すことが可能となった。
なお、富士通株式会社から原告宛の第一物件についての納品書は昭和六二年八月二六日付となっているが、右納品書には納品日として昭和六二年七月二四日と記載されている。
8 本件プログラムの開発、制作は、昭和六二年五月一五日頃から、原告とその下請けのトリオシステムプランズ株式会社とによって進められた。被告福島バレットの邊見も、プログラム開発の一部を担当することとなっており、打合せ会議にも何回か出席したが、現実にはプログラムの開発は担当しなかった。
昭和六二年七月二三日、原告は、本件プログラムのシステムの概要及び作成スケジュールを記載した「システム確認書」について被告鈴善工業の承認を得た。
そして、原告は、同年八月七日に本件プログラムについての見積書をトリオシステムプランズ株式会社から徴した上で、同日付で右会社に対し注文依頼書を発行した。また、原告は、同年八月三一日付で、右会社からプログラム作成等についての見積書を徴している。
結局、本件プログラムは同年秋には完成した(なお、前記システム確認書では一〇月からはすべてのプログラムが稼動する予定となっており、昭和六二年九月にトリオシステムプランズ株式会社から原告に提出された進捗状況に関する報告書でも九月中には完成する見込みとなっている。)。
もっとも、被告鈴善工業が原告宛に発行したソフトウェア検収完了報告書及びソフトウェア検収書には、検収日は昭和六三年三月二四日となっている。
9 二ッ森は前記リース契約の締結については何も知らされていなかったが、昭和六二年一二月中旬、被告福島バレットにリース会社の件で相談したい旨の電話をした際に、既にリース契約が締結され、被告福島バレットは被告常陽リースから代金支払のための手形を受領していると聞いた。
そこで、原告は急遽被告福島バレットに代金の支払を請求し、同被告から昭和六三年一月二二日に、金額七五五万円、支払期日同年四月三〇日の約束手形の振出交付を受けた。
しかし、被告福島バレットは昭和六三年四月三〇日に倒産し、右手形は不渡りとなった。
被告福島バレットの倒産は突然のことであって、四月分の従業員の給料も遅配になっておらず、倒産は従業員にとっても全く予期できないことであった。
三 以上認定の事実に基づいて、まず原告の債務不履行等の主張について判断する。
1 以上認定の事実によれば、本件プログラムについての契約が請負契約であるかどうか、また、原告が本件プログラムについて著作権を有するかどうかはともかくとして、右の点を除く請求原因2の事実を認めることができる。
2 前記認定のとおり、被告鈴善工業から原告に対し、被告福島バレットを本件取引に介在させたい旨の要請があったものであるが、これが指示といえるような強いものであった事実を認めるに足りる証拠はない。
3 原告は、被告鈴善工業との間で、本件物件について同被告が原告のために保管する旨の寄託契約が成立したと主張する。
本件物件の使用者は被告鈴善工業であるから、同被告が本件物件が同被告の本店に搬入されることを認容していたことは明らかであるが、この事実だけでは原告と同被告との間で寄託契約が成立したとはいえない。また、本件物件の売買ないし請負に関しては同被告と原告との間には直接の契約関係はなく、前記認定のとおり、原告と直接の契約関係にある被告福島バレットと原告との間で、納入後検収完了まで被告福島バレットが本件物件を預り保管する旨約されている。
したがって、原告と被告鈴善工業との間で原告主張のような寄託契約が成立したと解するのは相当ではない。原告の寄託契約の債務不履行の主張は理由がない。
4 被告鈴善工業が被告常陽リースとの間で本件物件についてのリース契約を締結した当時、被告鈴善工業の担当者あるいは被告鈴木勝健が、本件契約中のリース会社からの代金の受領に関する約定の存在を知っていたこと、また、右の者が被告福島バレットは資金繰りに困っており、同被告に対して本件物件の代金が支払われれば原告の代金回収が困難になることを知っていたことを認めるに足りる証拠はない(前記認定のとおり、二ッ森は右のような約定について被告鈴善工業に対して話していない。)。
原告は、第一物件の搬入直後で、かつ、本件プログラムが未完成の時点で、第二物件も含めてリース契約が締結されたことは異例であり、被告福島バレットの便宜を特に図ったものであると主張し、証人二ツ森浩美及び同樋口誠康はリース契約締結の時期について右主張を裏付ける証言をしているが、前記認定の事実に照らし、本件におけるリース契約締結の時期が業界の慣例に反するとか、一般的ではないとかいうことはできないし、少なくとも被告鈴善工業及び同常陽リースは異例の扱いをするという認識は持っていなかったことが明らかである。
したがって、被告鈴善工業の行為が不法行為に当たるとする根拠はない。
5 被告常陽リースについても、右4において被告鈴善工業について述べたところと同様であるから、被告常陽リースも不法行為責任を負うものではない。
6 前記認定の事実によれば、被告福島バレットは本件契約における代金受領に関する約定に違反し、これによって原告は七五五万円相当の損害を被ったものということができる。
また、被告鈴木昭三にも不法行為責任があるというべきである。
四 抗弁及び再抗弁について
1 本件物件が被告福島バレットから転売されたときには、所有権留保の特約が転買人には対抗できないことを原告が承認していたことを認めるに足りる証拠はない。
被告常陽リースらの転売授権に関する主張は採用することができない。
2 次に即時取得の主張について判断する。
(一) 前記認定のとおり、昭和六二年七月二四日に第一物件が被告鈴善工業の本店に搬入されているが、これはもとより被告福島バレットも了解の上のことであると推認され、かつ、同被告の担当社員も立会っているのであるから、右同日、第一物件は原告から被告福島バレットに引き渡され、以後同被告が第一物件を占有していたものとみることができる。
そして、同月二七日には、被告鈴善工業の本店に被告福島バレットの代表者及び被告常陽リースの担当者等が集まって第一物件のリース契約を締結し、更に同日、被告福島バレットは被告常陽リースに対し第一物件の注文請書及び納品書を交付しているのであるから、この日に第一物件は被告福島バレットから被告常陽リースに引き渡され、被告常陽リースはその占有を始めたものということができる。
第二物件については、昭和六二年七月二七日にそのリース契約が締結されているのであるから、被告福島バレット及び被告常陽リースは、本件プログラムが完成されるのに従い、第二物件がその制作者から直接被告鈴善工業に納入されることを予め了解し、その作業を右制作者に一任していたものと推認することができる。したがって、第二物件も、原告から被告福島バレットに引き渡され、次いで直ちに被告常陽リースに引き渡されたものであって、被告常陽リースは、昭和六二年秋までに、本件プログラムが完成されるのに従って、順次第二物件の占有を始めたものというべきである。
もっとも、第一物件は昭和六二年七月二四日以降被告鈴善工業本店に設置されて、以後設置場所の移動はなく、第二物件も直接被告鈴善工業に納入され、被告福島バレットや被告常陽リースがこれを物理的に所持していたことはない。しかし、占有とは必ずしも物理的支配を意味するものではないから、右のような事実は、被告福島バレットが自己のためにする意思をもって本件物件を所持しており(すなわち本件物件を占有しており)、被告常陽リースも同様に本件物件の占有を取得したものと評価するについて妨げとなるものではない。
原告は、原告が本件物件を被告鈴善工業に寄託し、右寄託契約に基づいてこれを被告鈴善工業が占有していたものであって、このような状態には昭和六二年七月二七日以降も何の変化もないとして、本件においては即時取得の要件を欠くと主張するもののようである。しかし、右のような寄託契約の成立を認めることができないことは既に述べたとおりであって、原告の主張はその前提を欠くものである。また、原告のこの点に関するその他の主張も採用することができない(なお、商品の最終的利用者がリース契約を締結する取引においては、本件のように、商品がリース業者を経由せずに直接最終利用者のもとへ納入されるということは通常の形態であろうと思われる。ところが、原告の主張によれば、そのような取引形態においてはリース業者は商品を即時取得することはありえないことになるが、このような場合におけるリース業者について保護の必要性がないとは考えられないのであって、右のような結論が不合理で当を得ないものであることは明らかである。)。
前記認定のとおり、書類上は第二物件の検収は昭和六三年三月二四日にされたことになっているが、この事実は以上の判断を左右するものではない。
(二) 原告は、被告常陽リースは、本件物件の所有権の帰属主体について確認すべきであったにもかかわらずそれをしなかったから、被告福島バレットが権利者であると信じたことについて過失がある旨主張する。
そして、証人二ッ森浩美は、コンピューター業界で使用されている売買の注文書には、ほとんど、代金完済まで所有権を留保する旨の条項が存在すると証言している。しかし、仮にそのような実情であるとしても(もっとも、どのような業者間の取引における実情であるのか、明らかではない。)、通常に営業をしている普通の販売店からコンピューターを購入する者は、一般的には売主(販売店)とその前主との間の売買契約に所有権留保の約定があるかどうか、ないしは右売買契約の代金が完済されているかどうかを調査する義務はなく、売主が所有権を有しているかどうかについて疑問を抱かせるような何らかの特別の事情があった場合にだけ調査をすれば足りると解するのが相当である。このように解するのが取引の実情に合致するのであり、また取引の安全の要請にも沿うところである。
本件においては、被告福島バレットは通常の営業をしているコンピューター等の販売店であって、少なくとも会津周辺においては手広く営業活動をしていたのであり、しかも被告常陽リースは被告福島バレットとそれまでに四件の取引をしていた(これらの取引について何らかの問題が生じたという証拠はない。)のであるから、被告常陽リースが本件物件について被告福島バレットが所有権を取得しているかどうか疑問を抱くべき合理的事由はなかったものといわなければならない。
したがって、被告常陽リースが右の点について特段の調査をしなかったとしても、過失があるということはできず、原告の前記主張は採用することができない。
(三) 以上によれば、即時取得の抗弁には理由がある。したがって、原告は本件物件の所有権を失ったものである。
3 原告は、被告鈴善工業が本件物件の返還請求を拒絶するのは信義則に違反すると主張するが、その根拠とする事実のほとんどはこれを認めることができないから、右主張は採用することができない。
五 不当利得の請求について
本件物件は被告常陽リースの所有に帰したのであるから、原告の不当利得の請求が理由のないことは明らかである。
なお、原告は、被告常陽リースは本件プログラム(原告が著作権を有すると主張する。)に関し利益を得ているとの主張もしているものと解される。
しかし、被告常陽リースは著作物の複製物である第二物件を被告鈴善工業に賃貸しているものであって、著作権に含まれる何らかの権利を行使しているものではないから(被告常陽リースは第二物件の被告鈴善工業への貸与によりこれを公衆に提供しているわけではないから、著作権法二六条の二の権利を行使しているものではない。)、本件プログラムの著作権によって何らかの利益を得ているということはできない。
六 結論
以上の事実によれば、本訴請求のうち、被告福島バレット及び同鈴木昭三に対する請求(各自金七五五万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成二年六月二二日から支払い済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める請求並びに原告と右両名との間において本件物件が原告の所有であることを確認することを求める請求)は理由があるからこれを認容し、その余の被告らに対する請求は失当であるからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条一項本文を、仮執行宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 矢崎秀一 裁判官 山﨑まさよ 神山隆一)
<以下省略>